棟梁の魂が化した本堂鳥
どんな伝承か
福吉の小屋寺の本堂は室町初期の建築と伝えられ、のちに重要文化財となった。七間四面のこの堂を建てたときの話である。梅雨どき、工事が半ばの頃、大工の棟梁が高い熱を出して倒れ、そのまま息を引き取った。妻や弟子が葬儀の相談をしていると、青白い小鳥が一羽、棺の中からすっと飛び立ち、本堂の方角へ去った。棺を改めると中は空で、白い装束だけが残っていたという。工事の首尾が気がかりで棟梁は鳥になって見に行ったのだと、人々は執念に驚いた。以来、梅雨の頃になるとどこからともなく鳥が来て、本堂の屋根で「本堂建てたか」と鳴く。村人はその声を聞くと、今年も本堂鳥が来た、棟梁の魂が戻ったと語り合いながら田植えの支度をする。
原典より
〈高木―「不如帰」〉小屋寺の本堂は室町初期の建物といわれ、昭和二十七年七月重要文化財に指定された。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。