無間の鐘と夜啼の松の由来
どんな伝承か
『東海道名所記』が記す。むかし西坂の里に女がいて、道で盗人に殺された。女は身重で、その月には産むはずであった。山の中に住む法師があわれんで腹を裂き、子を取り出して育てた。子が十五になったとき法師が事の次第を語ると、子は泣いて寺をひそかに出、池田の宿である家の使用人となった。いつも「いのちなりけり」の歌を口ずさむのを人に問われたその夜、隣家の主を討った。親の敵を討ったのである。子はのちに出家して父母の菩提を弔った。その寺には無間の鐘があり、佐夜の中山から十町ばかり過ぎたところには夜啼の松があって、この松を灯して見せると子どもの夜泣きが止むといったが、松は枯れて今は根ばかりになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。