観音の夢告げと太郎の漢渡り
どんな伝承か
昔、小田中の入左近の息子太郎が山仕事の昼寝中に夢で観音に会い、自分を連れて漢(または韓)の国へ渡れば王になれると告げられた。目覚めると傍らに小さな観音像があり、太郎はそれを抱いて邑知潟から船出した。その国の姫は初夜に婿の大事な所を食いちぎるため、契って生き延びた者に王位を譲るとの触れが出ていた。太郎は名乗り出て、擂粉木で姫の体内の鮫の歯のようなものを削ぎ落とし、夫婦となって王位を継いだ。やがて故郷が恋しくなって祈ると、大亀の背に乗れとのお告げがあり、無事に小田中へ帰り着いた。役目を終えて死んだ亀を葬った大きな墓が今の亀塚だという。
原典より
太郎はいわれた通り、海辺へ行って大亀の背に乗り、無事に小田中に着く事ができたと。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。