井田の不動滝
どんな伝承か
井田では、昔は不動滝のあたりまで田が続いていたが、四百年ほど前の大雨で大きな崖崩れが起き、四十町歩ほどの田が石だらけの河原に変わったという。その石をのけて家を建てたので、今も屋敷の下から砂利が出る。明治の初めに在所の家で井戸を掘ると、四メートルほど下から田の黒土と境杭が出たと人足が語った。滝壺のそばには三十三年に一度しか開帳しない不動堂があり、不動様の持つ縄より長い縄は燃やすなという戒めのおかげで、井田には大火がほとんどないという。滝の水で目を洗えば眼病が治るとされ、かねこひこさという人が二十一日間はだしで通って願を掛け、満願の日に目が開いたと歌われている。
原典より
不動滝の水で眼を洗うと、眼病が癒ると昔からいわれとるげ。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。