亀塚(一夜で盛り上がる)
どんな伝承か
小田中の親王塚のそばにある亀塚という古墳は、一晩のうちに盛り上がってできたという。何千年も昔、邑知潟がまだ海で、このあたりまで波が寄せていた頃、在所に住む独り身の女が夜中に小用に起きると、海がごうごうと鳴り、今にも波が家を呑み込みそうな音がしていた。ただ事ではないと戸を開けると目の前で巨大な亀が躍っていたので、驚いて戸を閉め、布団をかぶって寝てしまった。翌朝、亀のいたあたりが小山になっていた。これが亀塚で、昔は頭や手足、尻尾までついており、そこを切ると赤い血が出たと伝わる。
原典より
朝起きてみると、その亀のおったあたりが、小さい山になっとった。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。