白駒の池の白馬と娘
どんな伝承か
白駒の池には、池の名の起こりを語る話が二つ伝わっている。一つは、長者の娘が作男と恋仲になり、怒った長者が作男を山へ追い払った話である。彼を捜しに山へ入った娘は深い霧に迷い、現れた白い馬の後を追って池のほとりに出た。馬は、捜している人は池の奥にいるので会いたければ背に乗れと言い、娘がまたがると馬もろとも池に沈んで二度と姿を見せなかった。もう一つでは、重い病に伏した長者のため、信心深い娘が夢に現れた女神の教えどおり池の底の黄色い花の中で父を暮らさせると病はたちまち治った。しかし長者が家へ戻ると、娘は池から迎えに来た白馬に乗せられ、池の底へ消えたという。池の名はどちらも白馬にちなむという。
原典より
娘が白馬にまたがると、そのまま池の中に沈んでしまい、娘も馬もそれっきり姿をあらわさなかった。—— 長野県南佐久郡八千穂村佐口民俗誌稿 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県南佐久郡八千穂村佐口民俗誌稿
『長野県南佐久郡八千穂村佐口民俗誌稿』は、八千穂村佐口の暮らしと伝承を記した民俗誌の稿から、第十三章「口頭伝承」とその前の章の末尾を抜き出したものである。前の章の手まり唄・子守唄に続き、佐口へ嫁いだ桜井トラ氏から昭和五十一年に聞いた昔話、双子の池の竜神や白駒の池、大河原峠の行き倒れなどの伝説、火の玉の話、子どもを戒めることわざを収める。伝説には地理や類話を補う注を付し、佐口の外の土地の話も含む。