犬神統の部落
どんな伝承か
高知県幡多郡の山中、海岸の国道から一〇キロほど登った谷あいに馬荷部落がある。一番奥から上馬荷(福堂)・中馬荷・下馬荷の三部落が帯状に連なり、このうち上馬荷は戸数三〇戸中二九戸が犬神統だという。真ん中の中馬荷三三戸には犬神統が一戸もなく、下馬荷は三九戸中一四戸と白黒が混在する。中馬荷は日当りのよい一等地で矢野姓二九戸・松本姓三戸の同族社会をなし、付近には一条家の臣入江右近守の居館跡と伝える「城」の地名が残る。祭りの日には上下馬荷の氏神社から神輿が出て、中馬荷の八幡社で合体して乱舞した。
原典より
高知県の幡多はすべて山の中である。—— 出雲の迷信(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(1970年代)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
出雲の迷信(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(1970年代))
速水保孝『出雲の迷信』。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、出雲・隠岐・伯耆の狐持ち迷信を、家筋の系譜・近世史料・社会経済史の観点から徹底的に解明した憑きもの研究の集大成。第一章では自家が狐持ちとされた悲しみ・隔地心中事件・叔母の嫁入り口の差別を語り、第二章で憑き・狐憑き患者・人狐と狐持ち・おさき・くだ・いづな・とうびょうを概観する。第三章では犬神統の部落・上馬荷の人々・犬神使いの歴史・四国と豊後の犬神を追う。