田を渡る狐の列に見えた提灯
どんな伝承か
吉町二丁目に伝わる、狐の行列の話である。狐が列をなして通るのは、決まって夜のことだったという。夜中の三時ごろ、狐が田の中を渡っていくと、遠目にはいくつもの提灯の灯が、ついたり消えたりしながら連なって動いているように見えた。土地の人びとはその灯を見つけると、「お稲荷様がいらっしゃった」と言い合ったものだという。草加のあたりでは、こうした夜の灯を狐の嫁入りとも狐の嫁取りとも呼んで語り伝えてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。