片目の女体様
どんな伝承か
中根町の鎮守は女の神様だという。本殿の厨子には、彩色されて宝冠をいただいた女神の像が納められているが、その片方の目には傷がある。はじめから傷があったわけではなく、いつ、どういういきさつでそうなったのかははっきり伝わらないものの、何かの拍子に麻の葉で目を突き、つぶしてしまったのだという。それ以来この村では麻を忌み、村の中で麻を作ることを禁じてきた。よその土地では赤ん坊に着せると丈夫に育つといわれる麻の葉模様の着物も、ここでは着せないならわしである。
原典より
それがいつのことで、どうしたわけでそうなったかということまでは明確には伝えないが、何かの折に麻の葉で片目を突いてしまってつぶれてしまった。—— 草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。