蕎麦の花の海を泳いで歩いた人
どんな伝承か
あちこちの畑で蕎麦を作っていたころの話。花の時分になると畑一面が真っ白になり、遠くから眺めれば雪の原のように見えたという。そんな蕎麦の花の季節のことだった。ある人が狐に化かされ、夜中に「おお深い、おお深い」と言いながら、蕎麦畑の中を泳ぐようにして歩いていたのを助けられた。助け起こされたとき、カーン、カーンと鳴きながら狐が逃げていくのが見えたという。ほかにも、道と思い込んで田の中を大難儀して歩いていたという話もあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。