松の木に注射・肥溜に手をかざす
どんな伝承か
埼玉県草加市に伝わる話(『埼玉県伝説集成』)。ある晩、急病人があるからと往診を頼まれた医者が人力車で出かけたまま夜明け近くになっても帰らず、心配した家人が捜しに出た。すると、人家のない道端の松の木に向かって一生懸命注射をしている医者の姿を見つける。近くでは人力車夫が、膝掛けの毛布を肥溜めにかぶせ『温かくていい気持ちだ』と手をかざしていた。二人とも狐に化かされたのだろうということで、ようやくのことで連れ戻したという。
原典より
近くに人力車夫が膝当ての毛布を肥溜にかぶせて「温かくていい気持ちだ」と手をかざしていた。—— 草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。