狐にだまされ橋を何度も渡る
どんな伝承か
川和部落の黒沢清一は、三十年ほど前に狐に化かされたという。大平という所へ出かけたとき、広い道が続いていたので歩いていくと岩に突き当たり、よく見ればそれは藪だった。藪を越えると橋があり、しばらく行くとまた橋があって、いくつもの橋を渡り続けた。おかしいと思って煙草を一服つけたところで正気に戻った。三十分ほどの道のりに一時間もかかっており、同じ橋を何度も渡らされていたのだった。
原典より
川和部落の黒沢清一さんは三十年位前に狐にだまされた。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書)
『群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異』は、上野村で行われた民俗調査の報告のうち、聞書と俗信の部分を収めたものである。川和・住居附・野栗・奥名郷・勝山・野栗沢などで聞いた講、病気の呪い、雨乞い、禁忌と兆、山の神とオコジョ、オサキや狐つき、狐やむじなに化かされた話、一ツ目入道や山姥を、話者や部落名を添えて記す。上野勇の聞書と、昭和二十三年に東部の部落を調べた関口正の報告が入り、井田安雄の「乙父の民俗」は書き出しだけが載る。