お島御前と周元通宝
どんな伝承か
むかし蜂屋の島の洞というところに、お島御前という女の人が住んでいた。子どもがなく、かねてから子どもがほしいと思っていたので、小山の観音さまに願をかけ、二十一日の間、飛騨川の対岸の崖の上に花を立てて一心に祈った。花を立てて拝んだので、その場所をハナタテという。満願の夜、うつらうつらとまどろむお島御前の前に白いひげの老人が現れ、「なんじ、これを飲め」と一枚の銅銭を渡したかと思うと、煙のように消え去った。夢からさめると手には「周元通宝」という古銭が握られていた。飲みこんだ彼女はやがて懐妊し、男児を出産した。子は左手を握ったままで、七日目に開くと掌に周元通宝が乗っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史・自治体史(民俗))
『美濃加茂市史 民俗編』所収の伝説。岐阜県美濃加茂市の伊深・太田・蜂屋・三和ほか各地に伝わる口承を採録する。