歌人の歌で蛙が鳴かなくなった池
どんな伝承か
田沼町総合運動場の入口にある愛宕神社の下の宮の鳥居わきに、「蛙鳴かずの池能忍地」と刻んだ碑が立っている。神社の東は今は一面の田だが、かつてそこに径五メートルほどの池があり、蛙鳴かずの池と呼ばれた。昔この池には蛙がたくさんすみつき、夏になると毎晩やかましく鳴き続けたので、近くの人々は眠れずに困り果てた。いろいろ手を打っても効き目がなく、歌人を招いて蛙が鳴かなくなるよう歌を詠んでもらうと、それからは蛙がいくらいても一匹も鳴かなくなったという。池の水は白く濁ったぬめりのある水で、北の沢からしみ出す水が流れ込んでいた。明治の半ばごろには、そのしみ出す所に鉱泉宿を建て、水を沸かして湯を営む者もいた。詠んだ歌は記録も残っていない。
原典より
ある時、歌人を呼んで、ここで、蛙が鳴かなくなるよう歌を読んでもらった。—— 田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説(田沼町(編)・田沼町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説(田沼町(編)・田沼町史)
『田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説』は、田沼町が編んだ町史第一巻のうち、伝説の節の大半とことわざの節の冒頭を収めたものである。僧や鎧の祟り、神社の霊験、佐野宗綱の出陣、藤原秀郷ゆかりの井戸、義民、地名の由来、落人、寺社の縁起など、町内各地に伝わる話を地名や家名とともに記す。伝説は英雄偉人・義民・地名・落人・寺社縁起などの項に分けて並べ、ことわざの節は調査員の協力で集めたものを五十音順に掲げるが、いの項で終わっている。