フロシキ嫁を容認した共同体規制の時代
どんな伝承か
分析を総括すると、地域社会が現れた草創期には地縁的共同体的規制が強く働き、家の意識よりも地縁的な組合や共同体的な若者組の機能が表面に出る。婚姻にあたっても家の規制より組合や若い衆の意思が決定を左右し、家で行う婚礼の有無はさほど問題とならない。こうした状況から、後世には軽蔑批難されるような自由で素朴なフロシキ嫁の方式が容認されていた。やがて共同体が細分化して組合が生まれると、小集団の意思を反映させる必要が生じ、家の個別意識も強まって同族団の結成に至る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点(桜井徳太郎・桜井徳太郎・歴史民俗学・昭和(民俗学))
民俗学者・桜井徳太郎『霊魂観の系譜―歴史民俗学の視点』。日本民俗学を歴史研究と結びつける歴史民俗学の方法を提唱し、古代から現代に至る日本人の霊魂観を追究する。I『民俗学と歴史研究』では日本民俗学の宿命・対象・方法と歴史研究との関係を論じ、II『歴史民俗学の構想』では柳田国男の重出立証法を批判・克服し、奥多摩小河内村の婚姻習俗(朝聟入り型・承認権)を作業例に郷土の民俗像の史的復元を試みる。