山南町のトキアテ
どんな伝承か
兵庫県氷上郡山南町(もとの小川村)にトキアテという習俗があることが『兵庫民俗』第二巻二号に出ている。これは葬式の朝、二人連れの人が位牌とコウカン――おそらく死人に近い者がかぶる三角布の一種であろう――など、米一升、その中に豆腐・昆布・ゼンマイ・干瓢などいろいろな料理の品々を持って寺へ参り、アゲトキにしてもらいたいと挨拶するのだという。アゲトキとは、葬式のときにトキを出す、すなわち御馳走を出すのを省くという意味だそうで、料理の材料を一緒に持ち出して葬式のトキを省く点が強調されてトキアテといわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。