神池寺の澄まず池
どんな伝承か
夕方に鐘をつきに行った小僧が行方不明になり、三人目になって和尚も考え込んだ。そこで一人の坊に見張らせたところ、十日目の夕方、いつもより早く日が暮れかかると、鐘つき堂のそばの池が波立ち、池の中から大蛇が現れて小僧を一呑みにし、また池へ消えた。話を聞いた和尚は小僧そっくりの人形を作り、体の中に猛毒を仕掛けた。雨が降り出しそうな日を選んで人形を鐘つき堂へ運び、遠く離れた木陰から縄を延ばして鐘をつけるようにした。鐘の音が不気味に響くと大蛇が現れて人形を呑み、池へ消えた。やがて池は大きく波立って渦巻き、のたうつ大蛇の姿が見えた。静まった後、池の水は血で赤く濁っていた。大蛇はそれきり現れず、何年たっても水は澄まなかった。池はその後埋め立てられて小さくなっているが「澄まずの池」と呼ばれている。
原典より
〈高木―「濁りが淵」 柳田―「濁りが淵」〉夕方、鐘をつきに行った小僧がそのまま行方不明になったのが三人目のこと、はじめは修行がつらくて逃げ出したのだろうと思っていたのですが、和尚さんも考えこんでしまいました。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。