戦乱の渦
どんな伝承か
建礼門院に仕えた女房・右京大夫は、源平争乱の渦中にあった悲運の女性である。家集『建礼門院右京大夫集』には、都に届く戦乱の噂に胸を乱し、風の音にすら怯えて夢に見るほどの不安の日々が綴られている。元暦二年、平家一門が壇の浦で滅んだと聞いた時、彼女は嘆きを超えて放心状態に陥ったという。戦乱に巻き込まれた人々にとって、もはや妖怪や幽霊の入り込む余地さえなかったという、生々しい記録である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・昭和)
早川純夫『日本の妖怪』。神話時代から江戸まで、日本の妖怪と妖異を歴史の流れに沿って描く。