信州松城に落ちた雷獣
どんな伝承か
安永年間、信州松城の武士の家に雷が落ち、獣が捕らえられた。大きさは猫ほどで、形もまた猫に似ている。毛は灰色で光沢があり、日中を過ぎると金のような黄赤色を帯びる。腹の毛は逆に生え、毛の先は岐に分かれていた。天が晴れれば終日首を垂れて眠るようにしているが、暗く風雨の日には恐るべき勢いを見せる。この獣は落ちたときに足を打ち傷めて昇騰することができず、それゆえ捕らえられたのだという。傷が癒えた後、土地の人はこれを放してやった。雷の落ちた所ではしばしばこの獣が見られると『越後名寄』は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。