神様松の下で見つかった老人
どんな伝承か
柳田国男の『山の人生』が記す神隠しの話。能美郡遊泉寺村の伊右衛門という老人が、ある日ふいに行方を絶った。村中が手分けして捜し歩き、隣の集落との境をなす小山の中腹、傘を広げたような形の「神様松」と呼ばれる松の根方で、青ざめた顔のまま坐っている老人を見つけたという。捜索の間、村人は「鯖食った伊右衛門やーい」と声を張り上げて歩いた。天狗は鯖をなによりも嫌うので、そう唱えれば隠した者を必ず返すと信じられていたからである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・岩井宏実による妖怪事典『暮しの中の妖怪たち』。日本各地の妖怪を暮しの空間(山・海・道・家・屋敷)ごとに、約六十項目にわたり具体例とともに解説する。