狐憑きの最古の記録
どんな伝承か
狐が人に憑いて言葉を発したという記録は、我が国では平安朝の時代に現れているという。詳しくは今昔物語の利仁将軍の話にある。将軍が京都から賓客を連れて敦賀の本宅へ帰る折、近江の坂本の浜で一匹の野狐を見つけ、面白半分に駿馬で追い詰め、馬の腹の下へ逃げ込んだところを体を滑らせて脚を掴み捕らえた。将軍は人に物を言うように狐に向かい、命を取らぬ代わりに敦賀の館へ使者となれ、明日の午前十時頃までに高島あたりへ迎えの者二、三十名と乗馬二匹を差し向けよと伝えよ、と言って放した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期(1927))
心霊研究家・岡田建文が昭和二年(一九二七)に著した『動物界霊異誌』。現代物理は宇宙の大物理の末梢に過ぎぬとの立場から、動物の霊異を迷信的虚妄として退けず証明すべき事例として収集する。蝦蟇(ヒキガエル)の章では、蛇を埋めてクリ茸を生やし食う怪(島根波根東村)、背に五寸釘を刺され口から怪光を吐く大蝦蟇(会津若松龍田屋、同時に幼児が高熱)、猫を灰色の液汁に溶かす怪(石見久利村)、慶応二年に浄土寺へ夜ごと現れた武士の正体が蝦蟇だった話を収める。