でかい野郎が消えるムジナ
どんな伝承か
昭和十三、四年の頃、残業で夜遅く帰ってきたときのことである。今の東京化研の先の曲がった坂のところで、静かな晩だなどと独り言を言いながら、下を向いて自転車を押して上ってきた。ふと頭を上げると、自分より一回り大きな男がのっそりと突っ立っていた。たまげて『黙っていないで何とか言ったらいいだろう』と声をかけて通り過ぎ、後ろを見るともういない。ぶるぶる震えてしまった。あれはムジナが化けて出たのだと思ったという。
原典より
そんで『だまってねえで何とかいったらいかっぺ』っていって通り過ぎて、うしろ見たらいねえんだよな。—— 取手市史 民俗編2――将門伝説・怪異(取手市(編)・取手市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
取手市史 民俗編2――将門伝説・怪異(取手市(編)・取手市史)
『取手市史 民俗編2――将門伝説・怪異』は、取手市の市史民俗編のうち、俗信の箇条の末尾に続く第四節「伝説」・第五節「不思議な話」・第六節「祟り」を収めた部分である。市内各地区での聞き取りを話し言葉のまま書き起こし、長い四話は『取手町郷土史資料集 第一集』から抜粋する。将門と桔梗御前の伝説、地蔵・社寺・樹木の伝説、狐やムジナ・化け猫・幽霊・タマセの話に続き、忌田や祟り山の話を所有者名と地区を伏せて載せる。