酒屋通いで台石だけの酒買い地蔵
どんな伝承か
地蔵は民衆に親しまれた分、扱いも遠慮がない。願いをかなえたら解いてやると荒縄で縛りつけられる地蔵が東京にあるかと思えば、仏の側にも身持ちの定まらぬ者がいる。著者は、美女に化けて酒を買いに通ったという東京台東区の化け地蔵、夫婦で抱き合ってばかりいるという静岡県金谷の道楽地蔵と並べて、岩手県の遊び地蔵と盛岡市の酒買い地蔵を挙げる。これらは酒屋や色街にばかり出歩いていて、三年に一度ほどしか戻って来ないため、祠にはいつも台石だけが残っているのだという。これでは地蔵もいつまでも高い権威を保てまい、というのが著者の感想である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。