熊手で金をさらえ取る酉の市
どんな伝承か
井上円了が説く迷信の一例。祈禱を専門とする神社仏閣は多く、その多くが病気災難の魔除けや金もうけの祈願を扱う。東京の浅草には大鷲神社があり、毎年十一月の酉の日に祭礼が開かれる。参詣者は必ず熊手を買って帰るが、それは熊手で人の金をさらえ取りたいという願いを込めたもので、鷲の神の力を借りて金をつかみ取る意味だという。世間では不景気の時ほど御祈禱が盛んになるが、それは神仏に頼んで金もうけをさせてもらいたいという迷信があるからだと円了は論じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。