腸が酒を造る奇病の男
どんな伝承か
消化管の中で真菌がアルコールを造る酩酊症の患者は一人ではない。北大医学部の高杉年雄も同じ患者を治療している。患者は四十六歳の男性で、二十年も前から食後二時間で顔が火照って赤くなり、勤務にも差し支えるので方々の病院を回ったが、どこも真剣に原因を突き止めてくれなかった。とどのつまり北大病院へやって来た。高杉も当初はそのような奇病の存在を何度も否定したが、入院させて検査すると真菌のいたずらと分かった。カンジダ・アルビカンスに属するもので、糖を強く発酵させていたのである。原因は交通事故による開腹手術で胃を三分の二切除したことで、つないだ小腸が膨らんで第二の胃となり、そこで酒が造られていた。
原典より
同じように食後二時間で顔が火照って赤くなってくる。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。