金縛りのあとに抜け出す体
どんな伝承か
川崎市のS・Sさんは十六歳のとき、夜中に目を覚ますと目の前数十センチに天井板があり、初めて体外離脱を経験した。体を離れたことに慌て、手足をばたつかせて降りたが最後がうまく重ならず、戻りたいと心で叫ぶと全身を不思議な感覚が包んで体に戻った。以後も何度となく離脱したが自分では操れず、やがて直前に必ず金縛りが来ることに気づいた。恐怖はしだいに好奇心へ変わり、自らを材料に、離脱した体の形や、畳に指を入れるとイグサやワラの感触があることなどを確かめた。金縛りは体外離脱の一歩手前の状態だと考えるようになったという。
原典より
体験を繰り返すうちに、体外離脱の直前に『意識がはっきりしているのに、体が全く動かない状態』すなわち『金縛り』があることがわかってきたのです—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。