棒も刀も通らぬ老人
どんな伝承か
荒れた寺で伝八郎が老人の腹へ棒を突き入れると、棒は何かに支えられたようにぴたりと止まり、引こうとしても動かない。先端は老人の腹の奥に食い込んだようになっていた。老人がふいに腹を退くと棒は抜け、今度は仰向けに寝て、この腹を叩き割れるかと挑む。伝八郎が棒を振りかぶって臍のあたりを撲ると、臍が太鼓の胴のようにぽんと膨れ、棒は二つに折れた。返された刀を抜いて頭から斬り下ろすと、老人は右手で棒でも握るように刃をつかみ、左手を動かしただけで鍔元からぼきりと折ってしまう。伝八郎は恐れ入って座り、弟子にしてくれと願い出た。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))