夜具の下に首だけが残った女
どんな伝承か
女と一夜を並べて寝た侍が、夜明けに女を起こさぬようそっと起き、飯を炊いても女が起きてこないので奥の間をのぞくと、女は枕から頭を落として真っ青な顔をしていた。夜具を捲ると、体はなく首ばかりが寝ていて、切口は血みどろだった。その首は前日、山屋敷の門口の板橋の袂で切られた罪人のもので、重罪を犯した某遊女が、牢の口の桜が咲く頃まで待ってくれと願って死刑が延びていたのだった。検視で事実を話すうち、侍は顔色を変え『あれ、花が散る、花が散る』と叫んで発狂し、座敷牢に入れられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))