三十三年で神になる屋敷の祖霊
どんな伝承か
渋川市域の屋敷神はたいてい稲荷だが、なかに若宮八幡を祀る家がある。行幸田や半田では、その屋敷に住んでいた者が死んで三十三年を過ぎると神になり、若宮八幡として祀られるのだと伝えていた。つまりは祖先の霊にほかならない。この祖霊の信仰と、外から勧請してきた稲荷の信仰とが混ざり合ったため、この地の稲荷祭りには他所と違うところが生じている。半田で稲荷には線香を供えるものだと言い、台石に線香を立てる穴をあけている家があるのも、祖霊が祀り込められているという心もちの表れだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ・1980年代-1990年代推定)
本書は群馬県渋川市の民俗編として、地域に根ざした信仰体系と死生観を記録した資料である。民間信仰と俗信を既成宗教以前の下部構造と位置付けた上で、死の前兆(人魂現象、予知)、生死の境での異世界体験、死後の蘇生・生き返り、転生輪廻などの多様な事例を収集している。特に行幸田地区では生き返り事例が集中し、地域固有の信仰と関連する可能性が高い。