今から五十五年位前の話で、父から聞いた話だが、井之川
どんな伝承か
鹿児島県大島郡徳之島町での話。今から五十五年ほど前のこととして、語り手が父から聞いた。年の晩に兄が井之川から帰ってくる際、易者に今日は帰るなと言われたのに、若いものだから帰ってきた。馬に乗って帰ったが、井之川の近くのクンマントーという所で、いくら追っても馬が前に進まない。仕方なく馬から降りて曳いて行くと、女の姿が見えた。その女の後からついて行くうち、やがて姿が見えなくなった。そこで馬に乗ると今度は歩き出したので、走って帰った。家でもそんな予感があったらしく、すぐに塩を持って迎えてくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。