産後の病室を訪れた亡母
どんな伝承か
昭和四十六年十二月、危篤の母を実家で見守っていたが、長男が火のついたように泣きやまず、身重の体で自宅へ戻った。翌日、母は持ち直したと聞いて安堵した矢先に産気づき、帝王切開で長女を産む。生後七日目の夜、消灯前にうとうとしていると、風もないのに開いた扉が鳴り、カーテンが揺れた。起き上がると母が戸を開けて入ってくる。よくなったのかと呼びかけると笑顔でうなずくが、近づこうとすると廊下へ消えた。母の死を知ったのは二十日後で、実は出産の一時間後に息を引き取っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。