嵐山
どんな伝承か
京都府嵐山での話。語り手が十八、九歳で禅の修行をしていた頃、有名な大徳であった和尚は、時々朝起きると「今日は檀家のうちに死んだ者がある」と言い、その予言が必ず当たった。ある日の夕方、和尚が他の弟子を連れて山を降り、語り手が留守を頼まれた。十二時過ぎ、一陣の風が満山の梢を揺らしたと思うと、本堂の方で伽藍も壊れるかという響きがした。恐る恐る手燭を点して本堂を隈なく探したが異変はなく、位牌の並ぶ所に一つだけ位牌が転げ落ちていた。翌朝それを話すと和尚は某家の娘が死んだのだろうと言い、まもなくその家の使いが娘の死を告げに来た。
原典より
死の床にある人を囲んで、親類縁者がいまかいまかとみまもっていると、病人はむっくりと起きあがり、「お釈迦さまに会ってきた。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。