タクシーの運転手をしている夫が、今日はえらい目に遭っ
どんな伝承か
タクシーの運転手をしている夫が、今日はえらい目に遭ったと言いながら帰宅した。乗ってきた客はかなり酒に酔っていて後部席で寝てしまい、道順を聞くたびに揺り起こすのがひと苦労で、しかも教わった道路は行き止まりだった。通行人に道順を尋ね尋ね走っていると「なぜわしに聞かないのか」と怒鳴られた。ようやく自宅に着くと、ナンバープレートの番号をメモしろ、陸運局へ訴えると言う。奥さんとの対面を願うと、「女房は去年死んでおらん、忘れかけていた女房のことをまた思い出させる気か」と言い、千鳥足で歩き出した。手を貸そうとすると一喝されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。