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ちょっと六十年か六十五年ぐらい前の話だわね

所在地島根県出雲市
年代現代
登場石田又市
出典現代民話考 ― 偽汽車

どんな伝承か

島根県簸川郡の、六十年か六十五年ほど前の話である。今でも精霊船といって、海で死んだ者のために麦わらで組んだ船に戒名を書き、盆の御馳走をのせて海へ流す供養がある。ある夏の盆のころ、殺生を厳しく忌む月であるのに、話者が十七、八のころ、兄とともに夜、たいまつをつけて島へ栄螺を採りに出た。すると、提灯をいっぱいに下げた船に、青い坊さんや赤い坊さんが乗り、「よいしょ、よいしょ」と声をそろえて櫓を押しているのが見えた。漁師の亡霊だと恐れ、たいまつを投げ捨てて逃げ帰ったため山が燃えた。地下の者が消しに行くと、そこに精霊船が着いたばかりで、あれに仏が乗っていたのかと後で気づいたという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)

松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。

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