棺の蓋を開けると赤らんだ両頬
どんな伝承か
弘前で霊魂の実験を約束したお婆さんは、脳出血に倒れて数日で世を去った。夫も長男も十二月十四日に亡くなっているから自分も同じ日に逝きたいと生前から言っていたが、息を引き取ったのはまさにその十二月十四日、午後三時半のことだった。それから三日目の朝、火葬場へ送り出す直前に、近親者が集まって最後の別れにと棺の蓋を開けたところ、亡骸の両頬がぽっと赤みを帯びていた。気温の変わり目で細い血管がひらいただけかもしれない。それでも身内の者たちは、しっかり者の婆さまが最後まで見苦しい顔を見せまいとしたのだろうと語り合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代))
私は幽霊を見た=怖い怪異体験(東雅夫編)/人魂・鬼火・狐火/機関車・電車の怪/各地の幽霊目撃談/不気味な怪音と怪異