富村のミサキを祀るフロ
どんな伝承か
三浦秀宥『荒神とミサキ』に載る禁断の森の話。苫田郡富村大のフロは、村を東方に見下ろす山の中腹にある。フロの下は谷で、そこの山田は「ミサキさんの田」と呼ばれ、下肥をしたり女性が入ったりしてはいけないとされた。フロにはミサキを祀る祠があるといわれるが、谷に近いある家の当主が元旦と旧暦九月九日の深夜に精進潔斎して餅を供えに参る以外、誰も近づかない。精進の悪いときには、森に入って祠を探しても見つからないという。また翌朝、当主が森から帰る姿を目撃した者は死ぬという言い伝えがあり、近隣の家では陽が高くなるまで雨戸を開けることすらはばかった。この祭祀は昭和二年まで続いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・1996年-2004年(取材期間に基づく推定))
魔王の木槌を求めて=稲生物怪録(妖怪伝説奇聞)/稲生平太郎の妖怪変化体験/一ツ目巨人・逆さ生首・化け蝦蟇/三次・比熊山の妖怪伝説/各地の妖怪奇聞