奉公先の死を告げた赤い火の玉
どんな伝承か
所沢では人魂の話が数多く語られてきた。暗い夜にゴォーッという音を立て、紫の尾を引く火の玉が飛び、尾の向いた方角で不幸があったという。神米金に住む明治四十三年生まれの女性が語ったのは、市内北部のAさんの家のことである。Aさんの息子は昭和十六年に三芳村の奉公先で亡くなったが、その前の晩、Aさんの家の近くに大きな赤い火の玉が出たという。同じ女性は、Aさんという年配の女性が亡くなる数日前にも、家から火の玉がふらふらと飛び出して向こうへ去るのを家族が見た、とも話している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
所沢市史 民俗編(所沢市史・昭和中期(推定))
本書は埼玉県所沢市の民俗編として、明治から昭和戦中にかけて市内に伝承された怪談や民間信仰を記録した資料である。主な内容は、家に棲み着くヘビ、仏様が姿を変えた霊的存在、天狗やカッパなどの妖怪に関する伝承、雷獣などの民俗的存在が多く、これらは子供のしつけや禁忌事項として語り継がれていた。記録された話の多くは目撃者からの伝聞であり、所沢市内の実在する地名(北秋津、南永井、久米、本郷など)と結びついた地域固有の民間信仰を示している。