▽三度天狗界に行く
どんな伝承か
明和年間、上総国夷隅郡中崎村の農夫の子・源左衛門は、七歳のとき氏神の八幡社へ参詣した折、鳥居のあたりから現れた山伏姿の者に連れ去られた。親や村人が方々を探したが行方は知れず、八年を経て死んだものと諦め、仏事が営まれた。ところがその直後、相模の大山神社の近くに、幼童らしい着物を着た十四、五歳の少年がぽかりと現れる。腰の札に「総州中崎の者源左衛門」とあったので村送りで返されたが、その着衣は失踪した七歳のときのままで、少しも古びていなかった。源左衛門は山伏に連れられて知らぬ山中に至り、天狗の仲間となって小使役を務めていたが、仏事のあったとき「汝は不浄の身になった」として大山神社の近くへ放り出されたのだという。
原典より
明和年間、上総国夷隅郡中崎村の農夫の子、源左衛門が七歳の折りに氏神八幡社へ詣うた時、鳥居の辺から山伏体の人間が現はれて来て、どこかへ連れて行った。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))