52:妊娠中の女の死体から赤ん坊が産れ出る
どんな伝承か
明治二十三年十月、大阪西成郡上福島村三百八十六番地の戸長文五郎方に止宿していた、同郡下新庄村の生駒おふさ二十四歳は、妊娠して早くも臨月であった。夫は西区あたりに情人があって妻を顧みず、おふさは泣く泣く日を送っていたが、二十日の午後から急に激しい下痢を起こした。身は重く夫は留守、近所の者は時節柄コレラを恐れて見舞わず、医師を乞うことも薬を求めることもできぬまま翌朝死亡した。巡査と医師が出張して検めるとコレラに相違なく、夫を呼び戻して死体を棺に納めようとしたその時、死体から玉のような男児が分娩され、立会の吏員は大いに驚いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件