昭和六十年のこと
どんな伝承か
昭和六十年、長野県埴科郡坂城町の語り手が、病気で三日間意識不明のまま眠っていたときに見た夢だという。すみれやたんぽぽの咲く春の野原を流れる白いミルクの川を、たらい舟に乗って下っていくと、黒いタールの川が流れ寄ってきた。猫が百匹ほど現れてタールの流れを止めようとしたが、なおも迫ってくる。猫たちはやすで(むかでに似た虫)を雲のように連れてきて、力を合わせてタールの川を堰き止めた。うららかなミルクの川を楽しく下っていったところで目が覚めると、三日が経っていたという。語り手は、家の猫に「お前が助けに来てくれたんだね」と言って頭を撫でたという。回答者は長野県在住の多田ちとせ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。