大正一〇年の話
どんな伝承か
大正一〇年、静岡県掛川市のある村に、初めて電灯というものが引かれた。夕方六時になるときまって灯りがともり、朝六時になるときまって消える。それだけの単純な仕組みであったが、灯りがついた瞬間も、消えた瞬間も、その様子を見ていた家族は皆そろって思わず「アッ」と声をあげたという。電気のある暮らしがようやく始まったばかりの頃を伝える、素朴な逸話である。回答者は戸塚廉。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。