魚売のおばさんが、商(あきなひ)をしての帰りに西三川
どんな伝承か
魚売りの婆さんが商いの帰りに西三川の辺りで、すっかり日が暮れてしまった。今まで自分一人だと思っていたのに、いつの間にか若い男が同じ方向へ同じくらいの速さで並んで歩いている。互いに言葉もかけずに行くと、婆さんの下の辺りを撫でる者がある。気づいて見ると男の姿はなく、誰もいない。知らぬ顔で歩くとまた撫でる。むじなの悪戯だと思った婆さんは、持ち帰る串柿を一つもいで待ち構え、撫でられるたびに柿を投げつけた。家に帰り着いたときには串柿は一つも残っていなかった。むじなは柿が欲しかったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。