明治の初めの話
どんな伝承か
明治の初め頃、新潟県新発田市八郷町の狢内にある長楽寺に通う農家の若者があった。夏の夜、庭先で夕涼みをしていると急に強い風が吹き抜け、それから様子がおかしくなった。夜中に独り言を言い、誰もいないのに畏まって返事をするようになり、夜な夜な家を抜け出しては明け方に濡れて戻るようになる。ある夜、後をつけた父親が見ると、若者は裏山の谷底の大杉のてっぺんに軽々とよじ登り、両手を広げて叫んでいた。天狗にのりうつられたとして神主が祈祷し、三日三晩の後、若者は正気に戻ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。