病むたび夢に現れて育つ猫
どんな伝承か
亡くなった夫は拾ってきた猫を飼っていたが、酒に酔うとひどくいじめた。妻は不憫に思い、陰に日向にかばい続けた。猫はやせ衰え、いつの間にか姿を消し、まもなく夫も病で死んだ。その後、妻は何度も病に伏せるようになる。そのたび夢に猫が現れ、しつこくまとわりついてくる。やっと振りほどいて息をつくと目が覚め、その日から病は快方に向かう。いつも同じであった。やがて気づいたのは、猫が夢のたびに大きくなり、毛づやもよくなっていることだった。昭和五十五年の夏にひどい熱で苦しんだときは、堂々と大きく育った猫が横向きに座っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。