磯部豊子さんがまだ小学生だった大正十四、五年ごろの出
どんな伝承か
磯部豊子がまだ小学生だった大正十四、五年ごろの出来事だという。当時の静岡市城東町は歩兵第三十四聯隊の練兵場で、その東側に一間幅ほどの川が流れ、水辺には菅や葦が生い茂っていた。ある朝、登校しようと川沿いの道を歩いていると、塹壕の上で異様なものが戯れているのを見た。蛙が前脚を上げて立ったような格好の、一メートル丈ほどのものが三匹、輪になって踊りながら近づいてくる。驚いて立ちどまると、相手も人影に気づいたか塹壕の中へ消えてしまった。土色の肌で、胸から腹にかけてはわずかに白味を帯びていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。