俗名を刻む対馬西ノ泊の石塔
どんな伝承か
対馬の西ノ泊では、倉の並ぶ場所の上の丘が墓地になっていた。新しい墓には家の形をした覆いをかけ、これをスヤと呼ぶ。墓の上には平たい石を載せる習わしで、これをカブリイシといった。五十年で年忌を終えるころに石は割られ、砕けたものがあたりに散らばっている。この島には、戒名ではなく死者の俗名を彫った古い石塔が方々に残っている。石に戒名を刻む習慣が広まらなかったためらしい。石碑の多くは仏像を半ば浮き彫りにしたもので、彩色をとどめた古い碑もまれに見られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。