向圓王の久志逗留と汀間のミャラビ
どんな伝承か
向円王は沖の小島の伊平屋から身を起し、直ちに小舟を遠い佐敷の浜に寄せず、海を横切って宜名真に移り、奥間に遁げて鍛冶屋に助けられ、ようやく南して久志の間切に入ったが、美しい汀間のミャラビ(少女)を娶って、ここにまた二男一女を儲けるほど永く留まった。この伝記のいずれかの部分は伝説かも知れぬ。雨の降るある日の午後、福木の高く茂った汀間の里を訪れると、山には躑躅が咲き鳥が鳴いていた。若い英雄の恋語りを伝えた金丸川の泉は今も流れ、金丸御殿に仕えるのは由緒ある昔のノロであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。