昨年(昭和三十五年か/松谷)の十一月、沖縄の新聞に掲
どんな伝承か
沖縄の新聞に載った怪談である。十一月の中旬、三日も続けて幽霊が出たという話がもちあがり、アメリカ人の目撃者まで現れて沖縄の話題をさらった。場所は北部の名護。北部観光タクシーの比嘉広夫は、十七日午前一時ごろ名護から久志村の辺野古へ客を送った帰り、許田へ通じる一二二号線横断道路に入って最初のカーブにさしかかったところで若い女に呼び止められ、「名護までお願いします」とはっきりした口調で言われて乗せた。東江入口まで来て行き先を聞こうと振り返ると、女の影も形もなかった。名護給油所に駆け込んだ比嘉は、震えが止まるまで一時間もかかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。