ズイトン和尚とむじな
どんな伝承か
昔、宝蔵院の和尚に、瑞頓(ズイトン)という人があった。毎夜、寝しずまるとズイトン、ズイトンと呼ぶものがある。和尚はどうも変だ、一つ正体を見きわめてやろうと思い、月夜を幸いに明かりを消して寝たふりをしていると、いつものズイトンが始まった。足音をしのばせて戸のすきまからのぞくと、妙齢の美人に化けた古むじなが、太い尾で戸をズーッと撫でてはトンと叩き、それを繰り返すのでズイトン、ズイトンと響いて自分を呼ぶことになっていた。和尚が苦笑いしてエヘンと大きな咳ばらいをすると、さすがの古むじなも気づかれたと悟り、尾を巻いて裏の竹やぶをさして一目散に逃げ去ったという。
原典より
昔宝蔵院の和尚に、ズイトン(瑞頓)という人があった。—— 韮崎市の民話伝説(昭和四十二年(1967)刊) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
韮崎市の民話伝説(昭和四十二年(1967)刊)
山梨県韮崎市(穴山・穂坂・清哲・神山・大草・藤井・竜岡・中田・円野ほか各町)に伝わる伝説・民話を、木/石/水/塚/坂・峠/山/谷・沢/屋敷跡・城址/祠堂/その他 の各部門に分類して集成する。武田信玄・勝頼ら甲斐武田氏や新府城にまつわる伝承、日本武尊・源為朝・弘法大師の旧跡、御神木や霊石・霊池の怪異、稲荷・地蔵・観音の霊験、狐狸むじな・河童・鬼の昔話など、韮崎の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。