識名の遺念火
どんな伝承か
識名ンダ坂の遺念火の起こりはこう語られる。たいへん思い合っている男と女がおり、女はいつも豆腐を作って首里の町へ売りに行った。日が暮れてから帰るので、夫はいとしさにたいまつをつけて迎えに出て、途中で落ち合って共に家へ帰るのが常だった。この女がたいへんな美人だったので、横恋慕した男が力ずくで犯そうとした。女は夫を愛し義理堅い性質だったから、金城橋から身を投げて貞操を守った。迎えに来た夫は妻の死を知らされ、同じ橋から身を投げて後を追った。それからは二人の遺念が残り、その時刻になると毎晩、夫はたいまつをつけて妻を迎えに行き、妻もたいまつをつけて、橋のところで二つの火が一つになって戻っていくという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。